第3回 リウマチ エール♪
執筆日:2020年12月
第3回 関節リウマチの治療薬について(続き)
前回に続き、関節リウマチの「寛解」を強力に導く効果のある薬として、生物学的製剤(bDMARD)があります。
生物学的製剤とは、バイオテクノロジーの技術を利用して、生物(一般にヒトやマウス)由来のタンパク質を用いて製造される医薬品のことです。例として、インスリンや成長ホルモン、抗体医薬品があります。今回は、関節リウマチの治療に用いられている生物学的製剤をご紹介致します。
関節リウマチは、免疫系の異常によって関節に炎症が起き、腫れや痛みが生じます。この炎症は、関節の滑膜組織に集まるリンパ球やマクロファージから産生されるサイトカイン(TNF-αやIL-6など)によって引き起こされます。
生物学的製剤は、これらのサイトカインの働きやそれを産生する細胞の働きを抑えて、関節の炎症を鎮め、骨や軟骨の破壊を食い止めます。強力な免疫異常改善作用と炎症抑制作用を持ちますが、肺炎などの感染症にかからないよう注意が必要です。
現在発売されているTNF-α阻害薬は、レミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジア、レミケードとエンブレルの各バイオシミラーの7種類、IL-6受容体阻害薬は、アクテムラとケブザラの2種類です。これらの主な作用機序を図に示しています。MTXとの併用が必須なのはレミケードのみですが、いずれの薬剤もMTXを併用することで有効性が増強されます。
この他に、T細胞共刺激阻害薬のオレンシアは、関節リウマチにおける炎症発生の上流を阻害する作用をもち、下流の炎症性サイトカインの発生を抑えます。
<関節リウマチにおける生物学的製剤とその作用機序>